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「花粉戦争」 ジェフ・ヌーン

未来都市マンチェスターは、犬人間やロボットや、他の様々な人間の混血種の闊歩する混沌とした場所だ。死体までもが生殖の対象となり、死者と生者の交わって生まれた子供は、女児は思念感応力を持つ美女<シャドウ・ガール>となり、男児は醜い外見を持つ<ゾンビ>となる。世界には、現実の世界のほかに、夢の世界<ヴァート>が存在し、<羽>と呼ばれるドラッグを用いてほとんどすべての人間はこれに耽溺するが、ごくまれに夢想不能者<ドードー>も存在する。
こうした状況の中で、<ヴァート>から現実の世界へと侵攻が始まる。それは当初、花粉症の蔓延という形をとった。<ヴァート>世界の花粉、ひいては植物が、現実世界の生物を侵し、また犯そうとする。受粉は植物の性交である。花粉が現実世界の生物たちの鼻腔に着地することで、動物と植物の交雑が起こる。そしてそれは<ヴァート>世界の王であり、夢見られる存在であるジョン・パーレーコーンが、物語られることでしか存在を維持できない我が身を、現実世界と融和を図ることで確固たるものとしようとする試みだったのだ。
しかし夢の世界<ヴァート>の侵攻は夢想不能者<ドードー>に影響を与えることができない。喉から植物を生やし絶命した犬人間のタクシー運転手・コヨーテの死に不審を抱き、<ヴァート>の陰謀をいち早く察知したのは<シャドウ・ガール>であり<ドードー>である、ひとりの女性捜査官だった。

以下、長い上にネタばれになるので省略。
ここまで話を要約してみましたが、設定面白そうですよね…。でもわたし、ここまでのことを理解するのにすごく時間がかかってしまって、最後まで読んでも今ひとつ話に入り込めませんでした。この本の前に同設定の「ヴァート」という本が出ているらしいのですが、それを先に読まなかったのが敗因だったのかもしれない。あるいは騒々しい文体が合わなかったのかもしれない。
なんだかすごい本だったとは思うのですが、好みではなかった。残念。

花粉戦争」 ジェフ・ヌーン
by agco | 2004-10-25 23:20 | SF
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あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
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