「絵小説」 皆川博子

本書に収められた6つの物語は、少し特殊な製作過程を経て作られている。
皆川氏が1つの詩を指定し、それに基づいて宇野氏が絵を描き、その絵を見て皆川氏が物語を書く。最初の詩のイメージを、絵師の宇野氏の感覚というフィルターを通すことによって別種のものに変換し、それを新たに読み解くという過程を経ているのである。
そのことによって、おそらくは皆川氏個人では喚起し得なかったイメージが、随所に盛り込まれることになっているのだろう。
ただ、もともと皆川氏の文章は色彩や物の形の印象が非常に鮮やかで、ふしぎと絵画的であるという気もする。そのため普段との違いは文章だけを見ていてはわからない。
それだからきっとこれは、元になった絵画と見比べながら読むことで、文章と絵画が相補的に高めあう効果を楽しむためのものであろう。

物語の内容そのものはいつもの皆川博子的、絢爛とした退廃と女(少女)の残酷さ、脆さ強さが鋭いメスで切り取られている。短編集だけにそれぞれは小粒であるが、ちょっと息抜きをしたいときなどに読むにはちょうどいい。
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by agco | 2006-11-29 13:36 | FT・ホラー・幻想
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