いろいろな人の感想やレビューを見かけて、ずっと気になっていた作家でした、伊坂幸太郎。
たまたま最初に手に取ることになった本書「オーデュボンの祈り」は、彼のデビュー作でした。なるほど、小耳に挟んでいた通り、少し不思議な雰囲気のある物語です。 現代の仙台沖に存在しながら日本国に認識されていない不思議な島「萩島」。 その島の畑に150年ほど立ち続けている、未来を知り、人語を喋るカカシが「殺され」る。彼はそうなる自分の未来を予知できなかったのか。それとも知っていながらに、それを妨げないでいる理由があったのか。 この一番大きな謎を中心に物語が展開するわけだが、ラストが近づくにつれ、それまでバラバラに見えていた様々な事実がひとつに収束していくところはなかなか気持ちがいい。萩島にずっと伝わっている言い伝え、「この島にはひとつ足らないものがある。島の外から来た人間が、丘の上でそれを手渡す」の答えもまた、ひどく優しい。 デビュー作というだけあって、稚拙な部分もまとまりきらない部分もある物語だが、この作家の方向性はなんとなく掴めた気がする。そのやさしさだとか、やわらかな感性は結構好きだ。 他の本も読んでみようと思う。
by agco
| 2004-10-11 23:44
| ミステリ
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