万引きグループを抜けるために決行した最後のノルマの現場をスーパーの店長に押さえられ、中学生のさくらは親友の梨利と気まずい関係に陥ってしまう。
スーパーからこっそり逃がしてくれた智さんという人は、店長の甥にあたっていたが、地球上の全人類を救うための箱舟ならぬ宇宙船の設計を自分の使命としているひどく変わった人だった。 梨利との関係を祝福できぬままに智さんのアパートに入り浸るようになったさくらだったが、そこに梨利に恋する勝田くんという男の子が割り込んできて、余計なおせっかいを焼きまくり、さくらをいらだたせる。 ちょうどそのころ町では放火事件が相次いでいて、町全体に不穏な空気が漂っている。 どんどんおかしくなっていく智さんの精神状態と、とうとう薬にまで手を出し、落ちていく一方の梨利と、自分の未来に希望を見出せないでいるさくら、梨利に相手にされないままで懸命にまわりじゅうの心配をしている(しかし鬱陶しい)勝田くん。 その4人をまとめて一気に救うための解決策として勝田くんがでっちあげた「つきのふね」の古文書は、後に思いがけないところで威力を発揮することになる。 中学生というのはこんなにピュアで繊細な生き物なんだなあ。 でもわたしは全然こんな風な繊細な子供ではありませんでした。鈍くぼんやりと生きてきてしまった。だからこの物語に本当のところでは共感はできません。しかしこんな風にきらきらと、嬉しいことも、悲しいことも、痛みも強く鋭く感じる時期というのは、きっと誰にでも(一瞬にせよ)存在するのではないかな。 森絵都という人は、そうしたやわらかい感情の刹那のきらめきを書くのが上手い人だと思います。
by agco
| 2006-02-21 22:26
| 児童文学・絵本・YA
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