「伊勢エビの丸かじり」 東海林さだお

本書には一箇所だけ「異議あり!」と指をつけつけてやりたくなる部分がある。
メロンをどこまで食べるべきかという話のときだ。

あまりに皮の寸前まで食べるのはお行儀が悪い。貧乏人だと思われる。
かといって、あまりに沢山実の部分を残すのも、なによ見栄を張っちゃってと思われる。
それゆえメロンを適度に残すのは難しいと東海林さだおは言っている。

ここまではいい。人としてわかる。問題は次だ。

同じく残し方が難しいものとして、旅館の朝食に出てくる味付け海苔が例に出される。
これも、世のお父さんたちは、一袋に五枚入っているのを何枚残すかで悩むというのだ。全部食べるのは意地汚いようで外聞が悪いというのだ。

ちょっと待て。それ違うだろ。メロンと海苔を一緒にしちゃいかんやろ。
メロンを残すといっても、それはどこまでを「食べる部分」と見なすかという個人の線引きの問題であり、あくまで残された部分は「食べられないもの」なのだ。
しかし海苔は最初から五枚入っている以上、一旦袋を開けた以上は選択肢は「全部食べる」しかないのではないか。残すような半端な食べ方をするくらいなら、最初から手をつけるべきではないとわたしは思う。
だって残された海苔は、十分「食べられるもの」であるのに、無理やりゴミにされてしまうのだ。なんてことだろう残虐非道だ。そんなことをするお父さんたちは漁師に呪われてしかるべきだ。
そういうわけで、東海林氏には、ぜひとも心を入れ替えて、海苔を五枚全部召し上がっていただきたいのである。
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by agco | 2005-10-31 22:28 | エッセイ
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