「航路」 コニー・ウィリス

この本怖い。ホラーの怖さとは違う、ぞわぞわと背中の冷える怖さがある。(特に前巻)
それは本書が死を、正面から扱っているからだ。

NDE(臨死体験)を科学的に研究しようとしている認知心理学者のジョアンナは、神経内科医のリチャードに誘われ、擬似的にNDE時の脳の状態を作り出す投薬実験に参加する。
なかなか被験者が揃わない状況の中、ついにジョアンナは自らが被験者となることを決意するが、その体験の中、彼女が訪れた<場所>は、思いがけないものだった。
リチャードの理解すら得られない中、ジョアンナは必死で自らの体験の意味することを理解しようとつとめるが、ようやく結論が得られたときには、悲運が彼女を待ち構えていた。

この結論には実はあまり意外性がない…。その普通さにむしろ驚いたほどだ。
あれだけもってまわって、走り回って、回り道をしてたどり着いた結論がそれ。
ちょっと気が抜けたことを告白します。
ていうかこの本、そこに至るまでの話が猛烈に長い。「ドゥームズデイ・ブック」の時のいらいら感を倍増させた勢いで、とにかく邪魔が入って進まないので、相当に神経が痛めつけられた。コニー・ウィリスは読者をいらいらさせる天才だ。正直言ってあそこまでする必要があったのかどうか、わからない。じらしの手法はやりすぎるとくどいだけだ。
上手いし、面白いし、印象的な場面も沢山あったが、わたしが本書を絶賛しきれないのは、本筋に関係のない回り道があまりに長すぎるからである。
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by agco | 2005-10-26 00:09 | FT・ホラー・幻想
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あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
by agco
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