「タコの丸かじり」 東海林さだお

丸かじりシリーズ第二段、というわけではなくて、わたしの読んだのが単にこれで二冊目というだけ。でもまあ発行順に読む必要はないシリーズでありましょう。

あいかわらずのどかに楽しい食エッセイ。
出てくる料理や話題はどれも美味しそうなのだが、不思議なことに、今すぐそれを食べたいという気にはならない。むしろ切なくなったりしみじみしちゃったりすることが多い。
それは東海林さだおの書き方が、食に単なる美味を求めているのではなく、素材に裏に隠されたドラマをそのリアルな想像力によって、実に人間臭く描き出しているからだろう。

しかし今回のこの一冊の中で一番心に残ったのは『立ち食いそばを「評論」する』と題された一節だった。
以前に定食屋の評論をして、それが辛辣にすぎたためか嫌われてしまった(?)という経験をもつ東海林氏は、立ち食いそば屋を評論するにあたって、とにかく温かい批評、思いやりのある批評を心がけることにした。
そういうわけで東海林氏は、徹底的に立ち食いそばを誉める。いかなることであっても誉める。とにかく誉める。
その一本筋の通った姿勢は、実に効果的な皮肉となって結実している。この精神があれば、どんなまずい料理に当たっても、愉快な気持ちで食事を終えられそうである。
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by agco | 2005-06-15 23:28 | エッセイ
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あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
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