サン=テグジュペリといえば「星の王子さま」が有名ですが、本職は職業飛行家だった人です。
本書には、彼が飛行機乗りとなってから、郵便物を運ぶ空の途中で体験したこと、また砂漠で遭難したこと、彼の友人がアルプス山中から奇跡の生還を遂げたこと、海上で行方を断った多くの同僚たちのことなどが綴られているのですが、基本的に事実を書いてあるはずなのに、まるで幻想小説を読んでいるかのような趣があります。 それは目の前に見える事実に重なって映し出されるサン=テグジュペリの思念、思想、哲学のようなものが、非常にありありとした質感を持って書き表されているからで、ふとしたことから彼が想像するできごとは、現実の範疇を越えて力強く、また普遍性を持っているように思えます。 解説の中で堀口大學も書いていますが、これほどの想像力、創造力が、飛行家としての彼の中に同居していたことは、確かに奇跡的でしょう。 とても心に残る良い本です。 しかしサン=テグジュペリは、話の本文も良いのだが、前書き部分の秀逸さ加減は天才的ではないだろうか。「星の王子さま」なんか前書きだけでかなり突き刺さる。ここまで前書きを上手く書く人を他に知らない。
by agco
| 2004-12-27 23:47
| ノンフィクション
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