あんなに文句をたれておきながら(10月あたりの記録を参照)、それでもまだ読もうというのだから、もしかしたらわたしは結構、福井晴敏のことが好き…?
でも多分、これはこの本が友達のところから送られてきた荷物の中に入っていたので、渋々っぽく読んでいるだけで、自主的に手に取る気概はとうていなかったものと思われます。 またもやしこたま暴言を吐くので、ファンの方は気をつけて、ここより下はご覧にならないようにしてください。 それはさておき本書の内容はといえば、簡単にまとめれば以下の様になります。 ウイルス兵器を用いたサイバーテロで、米国防総省を脅迫した男の正体に隠された秘密。彼の真の目的は、米国と日本の戦後の病んだ関係を暴き、日本に一人前の大人の国家としての自覚を持たせることだった。 というのは建前で、さらに真の目的は、彼の父にその真意を問いただし、自分探しをすることだったらしい。そういうことは他人を巻き込まずに、おのおの勝手にやってもらいたい。 うーん。まあ一言でいうと、あまり良い出来とはいえない。これなら「亡国の~」とか「終戦の~」とかの方が、物語の完成度としては遥かに上です。 人物の書き込みがものすごく浅く感じられるんですよね。背景や過去の説明はちゃんと書かれているのに、それが感覚的に迫ってこない。現実味がない。それで、何か重大な局面において、登場人物たちが命やキャリアを投げ打つような重い決断をするたびに、なにやら腑に落ちない感じがしてたまらない。 もしかしたらこの作者には、人物をきちんと書き込むためには、分厚いハードカバー上下二冊分の枚数が必要なのかもしれない。はじめてそんなことを思いました。 あー、あとは、12歳12歳と連呼されるのが鬱陶しかったな。タイトルにもなっているので仕方ないとはいえ、そんなに現場の人間がその一言にこだわっているというのはどうも理解できない。 そしてやはり自衛隊の絡んだ軍隊物なんですけど、この人ほかの物を書く気はないんでしょうかね。あるいは書けないのか。眼中にないのか…。 あまり嬉しい方向性ではありません。 「Twelve Y.O.」 福井晴敏
by agco
| 2004-12-02 23:56
| ミステリ
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