「万物理論」 グレッグ・イーガン

最近SFをあんまり読んでいなかったので、ちょっと久しぶりに脳内の煤を払ってみようかと手にした一冊。しかしすっかりボケボケになっていた頭にはいきなりヘヴィすぎたもよう。いやあ理解を追いつかせるのが大変だった。
でも最も難しかったのは肝心かなめの万物理論そのものではなくて、背景として描かれている国際社会の力関係だったり対立だったりしたように思う。単にわたしが無知なのがいけないのですが。
前半、なかなか物語が本題に迫らないので、この話はいったいどこへいくつもりなのかとかなりやきもきしたが、終盤になって前半部分で語られたあれやこれやのできごとが、するりとつながっていく様子はスマートで読みごたえがあった。
「基石」が最終的に誰になるのかは、多分そうなんだろうなと予想したところに落ち着き、とても納得したのだったが、ものすごく端役っぽく出てきたアキリがあんなに重要な人物であったことは本書で一番の驚きだったかもしれない。
[PR]
# by agco | 2007-03-10 23:40 | SF

「青空の卵」 坂木司

ひきこもり探偵シリーズの1冊目。
ひきこもりくんとそのたったひとりのお友達(男性)との関係が共依存だとは噂に聞いていたが、読んでみたらば想像を超えた。
主人公でもあるお友達くんの一人称の語りで物語は進んでいくのだが、モノローグ的に語られる彼の心理が怖くて怖くてどうしようかと思った。
ひきこもりくんもいろいろと大変なキャラクターだが、一見普通で、涙もろくもやさしいタイプの主人公くんの内面の底なしの穴が恐ろしくてたまらない。
「ちょっといい話がたくさんつまった短編集」を手に取ったつもりで、いきなりサイコホラーを読まされた気になった。
これが好きかと問われると悩むところだが、この後どうなるのかが(恐ろしすぎて)気にかかるので、つづきも読んでみようと思う。
[PR]
# by agco | 2007-03-08 19:56 | ミステリ

2月の読書補足

また気がつくと一ヶ月くらいが経っていました…。
二月は割と本を読んだほうではないかと思いますが、もう細かな感想を書くのが面倒なのでまとめてゴー。

「海の仙人」 絲山秋子
じわっと肌にしみるお話。飄々とした空気があるものの、よく考えると主人公はけっこう悲惨な目にあっている。でもだからといって彼を不幸と決め付けるのはよろしくない。空気がきれいだった印象。

「薬指の標本」 小川洋子
作者のフェチ魂をがっつり感じた気がした。グッジョブ。

「わが悲しき娼婦たちの思い出」
愛とは幸福とは思い込みのなかにあり。

「屋久島ジュウソウ」 森絵都
一番長い屋久島の記録が一番面白くない。自分が行きたくて行った旅行でないためか、テンションが低すぎる。食べたものの記録はただ列挙するだけだと味気ない。

「些末なおもいで」 埜田杳
「あれ」と呼ばれる奇病で体の部分が次々と飛び去っていく少年と、それを見ていることしかできない不眠症の少年の関係を軸にした青春小説。不眠症の彼の一人称が「わたし」なのに、セリフのなかでは「ぼく」と喋っているので、非常に違和感があった。地の文章でも「ぼく」でいいじゃない。帯などのコピーから想像した内容とは大分違っていた。なにをやりたいのかはわかるんだけど。期待しすぎましたごめんなさい。

「スピリット・リング」 L.M.ビジョルド
なぜだろう、ものすごくかったるい本だった。同内容で分量を30%くらい減らしてくれたらもうすこし爽快に読めたかも。
火の天分を持つフィアメッタが、その運命の恋人(?)トゥールと最初に出会ったときに反感を持つのはかまわない。でもその後これといって気持ちが変化するような大きなできごとはなかったと思うのに、いつのまにかフィアメッタがトゥールを受け入れる気持ちになっていたことが納得できなかった。つまりそのあたりの心理描写が足りていないのだと思う。

「ヴォル・ゲーム」 L.M.ビジョルド
上記と同じ作者の本なのに、うってかわってこちらは面白い。これでもかというどんでんがえしに次ぐどんでんがえし。先の予測をさせない破天荒な展開。マイルズのむちゃくちゃぶりと天才的な機転と悪運の強さは健在。パパもイリヤンも素敵なんだけど、今回グレゴール(皇帝)の株がすごく上がった。このシリーズのほかの本は頑張って読みたい。
[PR]
# by agco | 2007-03-07 18:11

「瓦礫の矜持」 五條瑛

う~~~~~~ん何が悪いとはっきり言えないけれどもあまり面白くない。
100点満点で採点するなら52点くらい。
あらすじを解説する気力も起きないのでそのあたりはアマゾンのレビューでも参考にしていただくとして、えーとそうですね。
出てくる人がほとんど全員底が浅い。そこが最大のマイナスポイントかもしれません。
この作者にはよくあるタイプの登場人物(大勢)は、みんなそれなりに過去とか状況とかが書き込まれているにもかかわらず、誰も彼もが薄っぺらで、類型的に描かれすぎている気がしました。
そして主人公と思われる人物の影が薄い。しかもこの人、物語上で何の役にも立ってない。誰にも影響を与えず、誰かに感銘を与えたり気持ちを変化させたりしていない。何のためにこの人はここにいるの? と問いかけたいくらいです。
いっそのこと上倉さんと黒羽さんのふたりの関係に焦点を絞って、葛藤とか対立とかを書けばよかったのに。
こんな半端な書下ろしをしているくらいなら鉱物シリーズの先を進めていただきたいなあ。
[PR]
# by agco | 2007-02-03 23:10 | ミステリ

「壜の中の手記」 ジェラルド・カーシュ

この本は本当は昨年12月くらいに読んでいるはず。
しかし読んだのは文庫になる際に追加された2編と、お気に入りの「豚の島の女王」と、ロングバージョンになったという「狂える花」のみ。
ほかのお話は、以前にここにハードカバー版で感想を書いているので、まあもういいかと。
文庫になってお安くなり、さらにお話が追加されたり長くなったりといろいろあってお買い得な一冊。
でも追加のお話はめっちゃ短くてあまり印象に残りませんでした。悪くはないんだけど。
やはり改めて読んでも「豚の島の女王」が一番好きでした。
[PR]
# by agco | 2007-02-03 22:52 | FT・ホラー・幻想



あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
by agco
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ

以前の記事

リンクなど

最新のトラックバック

ライフログ

検索

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧