<   2006年 04月 ( 4 )   > この月の画像一覧

「聖女の遺骨求む」 エリス・ピーターズ

修道士カドフェルシリーズ1冊目。
つまらないと思っても最初の4冊までは我慢して読んでみるべしとお友達から言われて借りたので、黙々と読む。
そうですね、ミステリとしては謎解きとかにはあまり重点が置かれていない感じ。
時代が12世紀英国であるため科学捜査などという無粋なものはなく、おおらかに(大雑把に)物語が展開する。
カドフェルは今は修道士であるが、過去には世俗で様々な経験をした人であり、そのため正義感にがちがちに凝り固まらない柔軟な態度をとることができる。
物語中には殺意なく人を殺してしまった人物なども登場するのだが、そういう人間に対していかなる処断をすべきか等、カドフェルの資質が問われる場面が多く、そうしたときの対応には心和まされるものがある。

面白いかどうかはもう何冊か読んでから判断しよう。
[PR]
by agco | 2006-04-25 19:49 | ミステリ

「太陽の黄金の林檎」 レイ・ブラッドベリ

映画「サウンド・オブ・サンダー」の原作「雷のような音」が入っているので、ふと読んでみた。
……この短編でどうやって一本の長編映画にするんだろう。ものすご~~~くふくらませてあるんだろうか。
映画の方は酷評しかまだ見かけたことがないので、多分見に行かない…けど、いったいどういう展開になっているのかだけはとても気になる。

ブラッドベリ的な感性に対してあまり感度のよくないわたしのような人間にとっては、「ああ、ブラッドベリですね」以外の感想は特にない短編集。
しかしこの本の中でものすごく腹立たしいのは最後の解説。
中島梓の文章というものを久しぶりに読んだが、顔文字だの「(爆)」だのがバリバリに使われていて、萎えを通り越して激怒しそうになってしまった。あの方は自分をいくつだと思っているのか。
でも若かったらいいというものではなく、評論家としての文庫解説というものをこの方はなんだと思っていらっしゃるのか。
そのあたりとても問い詰めたかった。
ブラッドベリの作品の印象がすべて吹っ飛んでいくほどにむかつく解説だった。
[PR]
by agco | 2006-04-24 19:39 | SF

『私の「漱石」と「龍之介」』 内田百閒

百閒先生が書いた文章のなかから、漱石(先生)と龍之介(お友達)に関するものだけを抜き出してきたというコアなセレクションの一冊。
若い頃から百閒先生は妙なところで偏屈だったり、意外にミーハーだったりしてお可愛らしいです。
ときどき、実際にあったできごとを記述しているはずなのに、まるで百閒先生の創作の中の一場面のような、異世界に迷い込んだような感覚が表出しているのも面白い。
普通の人には見えないようなものがこの方の目には見えていたのかなあと思います。
[PR]
by agco | 2006-04-23 23:44 | エッセイ

「彼方なる歌に耳を澄ませよ」 アリステア・マクラウド

カナダ東端の島に渡ったスコットランド移民の子孫アレグザンダーは、幼い頃に両親と兄をひとり亡くし、その関係で双子の妹とともに祖父母の家で育てられた。その当時すでに10代半ばになっていた三人の兄たちは、それとは別に彼らだけの生活をはじめた。
かくして兄弟たちの生活環境は大きく隔てられることとなった。幼い双子たちは町中で高い教育を受け、上流社会の仲間入りを果たし、兄たちは野生にほどちかい労働者階級として生きた。
それでも彼ら兄弟たちの間には確かに通じ合うものがあった。
長じて歯科医となり、自らの家庭を持つようになったアレグザンダーは、社会の最下層に近いところで酒びたりの生活を送っている最年長の兄のもとを、週末ごとに訪れるようになる。そこには愛情と、暗黙のうちに通じ合う、互いの人生への了解がある。
移民としての生き方、抱え込んだ伝承の数々、階級間の距離、遠くにありながら近い関係を、時間を前後に行き来させながら淡々とできごとを積み重ねながら描き出す。

ラストがじんわりと胸にしみる物語でありました。
[PR]
by agco | 2006-04-21 23:45 | その他創作



あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
by agco
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30