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カテゴリ:SF( 41 )

「遺伝子の使命」 L.M.ビジョルド

マイルズシリーズの一冊、なんですが、マイルズが出てこない番外編。
物語はアトスという名の特殊な事情をかかえた惑星と、そこから派遣されてきた医師兼大使のイーサン、デンダリィ傭兵隊の中佐エリ・クインのふたりを中心に進みます。
マイルズは出てこないけど、物語のどたばたぶりは確かにこのシリーズならではのもの。なかなか楽しく読みました。
ああでも二回は読まなくていいかな。
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by agco | 2007-03-17 11:30 | SF

「万物理論」 グレッグ・イーガン

最近SFをあんまり読んでいなかったので、ちょっと久しぶりに脳内の煤を払ってみようかと手にした一冊。しかしすっかりボケボケになっていた頭にはいきなりヘヴィすぎたもよう。いやあ理解を追いつかせるのが大変だった。
でも最も難しかったのは肝心かなめの万物理論そのものではなくて、背景として描かれている国際社会の力関係だったり対立だったりしたように思う。単にわたしが無知なのがいけないのですが。
前半、なかなか物語が本題に迫らないので、この話はいったいどこへいくつもりなのかとかなりやきもきしたが、終盤になって前半部分で語られたあれやこれやのできごとが、するりとつながっていく様子はスマートで読みごたえがあった。
「基石」が最終的に誰になるのかは、多分そうなんだろうなと予想したところに落ち着き、とても納得したのだったが、ものすごく端役っぽく出てきたアキリがあんなに重要な人物であったことは本書で一番の驚きだったかもしれない。
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by agco | 2007-03-10 23:40 | SF

「地球の静止する日」

ブラッドベリ、スタージョンほか、映画になった作品の原作を集めたアンソロジー。
企画自体は面白いと思うものの、比較すべき対象の映画をほとんど見ていないので、妙味が半分くらいしか味わえていないはず。ちびちびレンタルでもしてきてみるべきか。
でも、映画のほうをまったく見ないで読んだ本書の作品それぞれは、こう、なんというのか、きっぱり面白いとも言いがたい感じだったような…(笑)
やっぱり映画を見てみよう。そうでないとこの本の真価がわからない。
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by agco | 2006-07-12 22:26 | SF

「太陽の黄金の林檎」 レイ・ブラッドベリ

映画「サウンド・オブ・サンダー」の原作「雷のような音」が入っているので、ふと読んでみた。
……この短編でどうやって一本の長編映画にするんだろう。ものすご~~~くふくらませてあるんだろうか。
映画の方は酷評しかまだ見かけたことがないので、多分見に行かない…けど、いったいどういう展開になっているのかだけはとても気になる。

ブラッドベリ的な感性に対してあまり感度のよくないわたしのような人間にとっては、「ああ、ブラッドベリですね」以外の感想は特にない短編集。
しかしこの本の中でものすごく腹立たしいのは最後の解説。
中島梓の文章というものを久しぶりに読んだが、顔文字だの「(爆)」だのがバリバリに使われていて、萎えを通り越して激怒しそうになってしまった。あの方は自分をいくつだと思っているのか。
でも若かったらいいというものではなく、評論家としての文庫解説というものをこの方はなんだと思っていらっしゃるのか。
そのあたりとても問い詰めたかった。
ブラッドベリの作品の印象がすべて吹っ飛んでいくほどにむかつく解説だった。
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by agco | 2006-04-24 19:39 | SF

「一角獣・多角獣」 シオドア・スタージョン

ついに復刊、異色作家短編集の第3巻。ほかの巻もすごく読みたいんですが、とりあえずまずはスタージョンだけ買ってきました。
ここ最近のスタージョン復刊ブームで、作品の半分はすでに読めている感じですが、訳が違うとイメージは多少変わる気がします。未読のものから先に読んで、既読の話はぽつぽつとしかまだ読んでいないのですが、特に「めぐりあい」(「海を失った男」の中では改題されて「シジジイじゃない」)の意味が、これを読んではじめて分かった気がする。前はなんでわからなかったんだ? って感じですが…。
未読だった作品については、ああやっぱりスタージョンてこうだよなあという路線をきっちり守っているので、概ねよし。一番最初の「一角獣の泉」が好きなのですが、ストーリー自体が好きというよりは、金持ちの令嬢にいいようにあしらわれ、いたぶられる男のそのシチュエーション、そのディテールが胸にしみます。たとえば「輝く断片」だって、死にかけている女を男が治療するところのあのディテールを、ああいう風に書き込まなかったらああいう話にはならなかったはず。同じ話をスタージョン以外の人間が書けば、全然違ったものになっているはず。
そういう表現の緻密さというか、細部の中に宿るフェティシズムのようなものが、スタージョンの場合根幹であるのだなあと思います。
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by agco | 2005-11-26 22:38 | SF

「グラン・ヴァカンス 廃園の天使1」 飛 浩隆

AIたちの住む夏の区界には、これで1000年ばかりの間、一度も人間のゲストが訪れていない。外の世界はどうなったのか、AIたちには知るすべがなく、一見平和な日常が永遠と思われる単調さで日々繰り返されている。
しかしそんな夏の時間は唐突に終わりを告げた。
<蜘蛛>たちが区界を食い荒らし、鉱泉ホテルとその周辺を残したすべての世界が消えうせてしまったのだ。蜘蛛と戦うために<硝視体>を用いて罠を作るAIたちを嘲笑うかのように、ランゴーニと名乗る少年あるいは青年あるいは男は、罠を逆手に取った苦痛の集積体を作り上げる。

苦痛、耐え難い苦痛と連呼される割にはあまりそれが生々しく読者に伝わってこないのは、登場人物たちがAIだということのほかに、この作者の文体が大きく影響しているのだと思う。
しかし、そんな部分をあまりリアルに書かれても、読者を振り落とすばかりであまりいいことはないようにも思えるので、これはこんなあたりでちょうどいいのかもしれない。
虐待と残酷さを基盤に置いた夏の区界という場所に住む、ジュールとジュリーという決して結ばれることがないと決められている二人を中心に物語は展開する。
この人間関係は、わりと好きだなあ。
しかしこれ、三部作の続きの部分はいったいいつ出るんだろう。作者は大変に遅筆であるそうなので、とても心配である。
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by agco | 2005-11-03 20:48 | SF

「ドゥームズデイ・ブック」 コニー・ウィリス

umi_urimasuさんの「ドゥームズデイ・ブック」コニー・ウィリス②にTB

物語のあらすじや見所などは、↑をご覧になっていただくのが一番早い。
面白かった! と一言ですませてしまえれば楽なのだが、あえて蛇足を加えるならば、キヴリンがひとりだけ生き残ることは、決して都合の良い安易なハッピーエンドとは呼べず、かえって彼女の今後を思えば非常に重い結末といえると思う。
21世紀と14世紀という対比されているふたつの世界で、人がバタバタと死んでいく。14世紀の方はともかく21世紀の方は、救われる手段があるはずなのに色々なところでもたついてそれが実行されないという展開にかなり苛ついた。でもこれは本書の展開が下手だという意味ではなく、むしろ効果が効きすぎての苛々だ。バードリの馬鹿ー! ダンワーシイの役立たずー!
しかしまあ、人間がよく書けている本でしたよ。ええもう。
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by agco | 2005-08-28 23:13 | SF

「エイダ」 山田正紀

メアリ・シェリーは若干21歳にして「フランケンシュタイン」を書き上げた。そのことがその後の彼女の運命を悲劇的な方向へと歪めることになろうとは、また後の時代の宇宙の存在のあり方にまで、大きな影響をもたらすことになるとは少しも思っていなかった。

19世紀半ばの数学者バベッジは、詩人バイロンの娘で数学の天才であるエイダ・オーガスタの協力を得、現代のコンピュータの原型ともいえる「階層機械(ディファレンス・エンジン)」を製作した。
「フランケンシュタイン」が、科学の力で生命を創造しようとした話であるとするなら、「階層機械」は科学の力で人間の脳を創造しようとする試みであるともいえる。
エイダはそう、後の文豪チャールズ・ディケンズに語り、笑った。

メアリはその終生を、自らが創作したはずのフランケンシュタインの怪物につきまとわれ、コナン・ドイルは雪山でシャーロック・ホームズと遭遇し、物語は物語られた瞬間に生を受け、現実を侵食しはじめる。

人類が量子コンピュータを発明し、最初のそれが起動をはじめて以来、プラズマ宇宙論とビッグ・バン宇宙論というふたつの相容れない理論どうしは衝突しあい、互いの存在をかけて戦うことになる。
量子論から導き出される平行宇宙の理論から、無限に世界を、あるいは物語を創造しつづける超伝導大型粒子加速器<エイダ>に、ゾロアスター教の悪魔になぞらえられる四人が立ち向かう。
悪神<アングラ・マニュイ>と、虚言者<ドルジェ>、死体の腐敗をつかさどる女魔<ナス>、人間の脳漿をむさぼる蛇<アジダハーク>と。

いやあ説明の難しい話だなあ。
理論のことはまあさておくとして、実際になぜか<アングラ・マニュイ>に選ばれてしまった三人が、どうもみんなぱっとしなくて、<アングラ・マニュイ>の気持ちがよくわからない…。<アングラ・マニュイ>本人も、なんかこう、しゃっきりしていなので、仕方がないのかもしれないが。
シーンがすぐにあちこちへ飛んで散漫な印象がする。何よりどうして<エイダ>がそんなに焦点になるのか今ひとつぴんと来ない。ものすごく出番少ないんですよね、エイダ・オーガスタ。その死後になって名前だけが一人歩きしている感じ。
「SFが読みたい!」が選んだ90年代ベストSF(国内篇)第一位(2001年の時点で)と、帯には書いてあるんですが……うーん。コメントは控えよう。
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by agco | 2005-08-02 20:26 | SF

「故郷から10000光年」 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

思い出したように再びティプトリー。
この本は多分、以前に読んだことがない。あるいはきれいさっぱり忘れてしまっているかのどちらかだ。15短篇が収録されているのだが、そのうちひとつも記憶になかった。
しかし……。

わたしの頭が悪いのか、作者の書き方と合わないのか、ティプトリーは時々話の意味がつかめないことがある。これは科学的な内容の難しさではなく、「え。それで?」というタイプのわからなさだ。書いてある文章事態は理解できるが、作者がそれで何を書こうとしたのかがわからない。そこから何を読み取ればいいのか途方にくれてしまう。ある意味不親切な作風だ。

わかるときも当然ある。そういう場合は素直に物語に入っていけるし、面白い。

わかるけれども、面倒になって飛ばしてしまう話もある。ギャグ調というか、スラップスティックというか、会話主体で展開される騒々しい短篇がそれだ。好きな人はいるだろうけど、わたしは苦手だ。

そういうわけで、ティプトリーの話というのは、面白いと分からないと鬱陶しいがきれいに三分割だ。なんという微妙な作家だろう。わたしはティプトリーが好きなのか嫌いなのか、自分でもいまひとつ判断ができないでいるのだ。
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by agco | 2005-07-26 23:53 | SF

「戦士志願」 ロイス・マクマスター・ビジョルド

生まれながら身体にハンデを負った貴族の息子のマイルズは、士官学校の入学試験に失敗し、気分転換をかねて母の故郷の惑星を訪れた。
しかしマイルズというのは大人しく落ち込んでいるような性格ではなく、頼まれてもいない揉め事に首を突っ込みまくり、廃棄寸前の貨物船を乗務員ごとむりやり買収し、脱走兵をエンジニアとして口説き、従者の軍曹とその娘を引き連れて、戦争真っ最中の立ち入り禁止星域へとヤバイ荷物を載せて飛び立った。
物語は怒涛のごとくに展開する。敵方の傭兵隊に捕獲されたかと思えば一転これを逆襲して宇宙船ごと奪い、乗務員までとっさにでっち上げた傭兵部隊に編入し、あれよあれよといううちに戦争に巻き込まれて劣勢方の救世主のような存在となって部隊を率いて戦うはめになる。
誤解が誤解をよんで、若返り処置を受けた歴戦の提督のように周囲に受け止められているマイルズは、内心悲鳴を上げつつも、機転と周囲の助力によって、なんときっちりと与えられた役割を果たしてしまう。
そうこうするうち、長らく離れていた故郷では、マイルズを皇帝に対する反逆罪で死刑にせよとする謀略などが進行し、次から次へとマイルズは休む暇もない。
悲しい出来事も多く起こる物語であるが、マイルズの不屈の精神とその鮮やかな手腕には、うきうきどきどきさせられる。おまえそれは無茶だろうということが、びしっと決まる清々しさ。
これが長く続くシリーズとなっていることが納得できる、楽しい読み物でした。
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by agco | 2005-07-22 22:31 | SF



あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
by agco
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