カテゴリ:伝奇・時代・歴史( 37 )

「1809」 佐藤亜紀

ナポレオン暗殺計画に思いがけずどんどん巻き込まれていった仏軍工兵隊大尉アントワーヌ・パスキは結局いかなる決断をしたか。
本書はパスキ氏の一人称で書かれているのであまりはっきりとはわからないのだが、この御仁、実は大変な美男子だったらしい。周り中をひそかに魅了していたらしい。もちろん顔だけの問題ではないのだろうが。
ウストリツキ公爵とその弟の大佐、さらにその妻クリスティアーネという三人に、パスキ氏は散々にふりまわされて痛い目も見るのだが、実のところふりまわされていたのはウストリツキ公爵のほうだったのかもしれない。結局パスキ氏に関わった周囲の人々(上司や同僚、オーストリア警察およびフランス警察、などなど)の大半は死んだり逃げたりして身を持ち崩している。
パスキ氏自身は意外にもさほど落ちぶれていないのが、よく考えるとすごいところだ。この人実は魔性、なんじゃ。
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by agco | 2007-07-11 20:34 | 伝奇・時代・歴史

「ミノタウロス」 佐藤亜紀

これまでに読んだ佐藤氏の本にはどこかしらファンタジーもしくはSFの要素が含まれていたものだったが、この本にはそれがない。一応純粋に歴史物に分類していいような内容となっている。
とはいえそれで、他の著作と本書が一線を画しているかというとそうではない。
あいかわらずひとりの男がどんどん落ちぶれていく様を描いているし、描写力もゆるがない。そうそう、珍しく舞台がロシアだった。しかし場所がどこでも人間のやることにはさほど変化がないものですね。
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by agco | 2007-07-09 23:27 | 伝奇・時代・歴史

「バルタザールの遍歴」 佐藤亜紀

著者のデビュー作。
ひとつの体に魂がふたつ。そんな奇妙な状態でこの世に生まれ落ちたメルヒオール/バルタザールはいかなる人生を送ったか。
二重人格と違うところはふたりは同時に存在し、互いのやることを知覚でき、また心中での会話も可能。右手でバルタザールが一心不乱に文章を書き、その間メルヒオールが左手で赤ワインの入ったグラスを傾けるといったこともできてしまう。
さらには彼らはひそかに「実体を持った幽体離脱」とでも言うべき能力の持ち主で、これは父から受け継いだものであるらしい。
オーストリアの没落しつつある伯爵家の跡取り息子として生まれ、貧乏といいつつ十分に裕福であったが、財産なるものは叔母の策略でいくらか掠め取られ、本人もいろいろあって放蕩し、さらにはとある人物から騙し取られて結局<彼ら>は一文無しで遠い異郷をさ迷い歩くことになる。
まあ自業自得なんですが。

否応もなく落ちぶれていく男というものを書くのが著者はことのほか好きなようだ。
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by agco | 2007-07-06 22:27 | 伝奇・時代・歴史

「モンティニーの狼男爵」 佐藤亜紀

狼男をモチーフにした物語というか実は愛の物語?
狼男爵さんはけっこう好感の持てる人柄でした。なかなか報われないところもあわれでよし。
面白かったは面白かったけれども「鏡の影」のほうがわたしの好みにどんぴしゃでした。
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by agco | 2007-07-01 22:16 | 伝奇・時代・歴史

「鏡の影」 佐藤亜紀

佐藤亜紀ブームが訪れているので、当分ここのところの記録は佐藤亜紀つづきとなることでしょう。
本書もまた面白い! すばらしく面白い!
主人公であるヨハネス氏の妙にだめだめしかったり朴念仁だったり学究肌のくせに美少女に恋してみたり美女に抵抗してみたかと思えば陥落した時にはそれはもう底なしだったり、まあいろいろとその人物造詣にはときめくものがあります。
そしてなによりヨハネス氏のお供というか、ファウストに対するメフィストフェレス役にあたる“悪魔”シュピーゲルグランツ君が超~~~~~~可愛らしくてですね、大変によかったと思います。かわいいのは顔もなんですが、性格もです。いわゆる「イイ性格」というやつです。
この微妙な主従が様々なトラブルに巻き込まれつつもついに神学上の真理に到達したときに、そこには哀れな結末が待っているのです。
いっそこのお話には続編があってもよかったと思うくらいなのですが、本書が巻き込まれた出版上のトラブルを思うと、きっと永遠にないのだろうなあ……。
そのあたりの経緯は検索すればあっというまにわかりますが、それを知って、新潮社に対するイメージがはなはだ低下いたしました。こんないい本を絶版にするだなんてひどいよ新潮社。文庫化してほしいくらいだよ。
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by agco | 2007-06-06 00:31 | 伝奇・時代・歴史

「天使」「雲雀」 佐藤亜紀

おおお佐藤亜紀、最高。なんでもっと早くに読んでおかなかったんだバカバカと自分を責めたくなるくらいにツボに入りました。
重厚な世界観、精妙な描写力、それぞれに個性的で魅力的な登場人物たちと、非の打ち所がありません。
「雲雀」は「天使」のその後だったりサイドストーリーだったりを集めた短編集であり、「天使」を読むならこっちもおさえておくことを激しくおすすめします。
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by agco | 2007-06-03 00:26 | 伝奇・時代・歴史

「記憶の書」 ジェフリー・フォード

「白い果実」の続編。今回のリライト担当が山尾悠子さんではないのはなぜ(遅いのかな…とか、かんぐってしまう)。別にいいけど。

元・観相官のクレイは、今は平和に暮らしていたが、あるとき村に機械の鳥が飛んできて、謎の黄色い霧を撒き散らすやいなや、人々は深い眠りに落ちて目覚めなくなってしまう。
人々をこの眠り病から引き戻すために、クレイはかつての独裁者ビロウのもとへと赴くが、なんとそこではビロウ自身が同じ症状を起こして眠り込んでいた。病の治療薬を手に入れるために、クレイは人の心を持った魔物ミスリックスの手を借りて、ビロウの夢の中の世界へ潜入する。

さあさあ、今回もとんでもないイメージの奔流に押し流されて、千変万化な象徴の絡まりあった虚構世界との格闘がはじまります。ジェフリー・フォードはすごいなあ。
素直に面白かったです。
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by agco | 2007-06-01 20:02 | 伝奇・時代・歴史

守り人シリーズ 全10冊 上橋菜穂子

最近このシリーズの一冊目がアニメになったり、文庫になったりして、はやっているんだなあとわかります。まあ確かに面白い……気がします。一気に10冊読めちゃうんだから、つまらないわけがない。だけどこう今ひとつわたしの好みじゃないのか、割と冷静に読んでしまいました。
主人公のバルサが結構好きです。ほかの登場人物も、みんな頑張っている感じがして、好感が持てました。意外にシビアな展開もあるし、子供向けといってあなどれないきちんとした世界を構築していると思います。
ああでもやっぱりガツーンとショックを受けたりはしないかなあ。
どんなによくできたお話でも、このガツーンがないと、個人的にはあまり惹かれない…てことになります。すみません。
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by agco | 2007-05-30 19:42 | 伝奇・時代・歴史

「剣嵐の大地 1・2・3」 ジョージ・R.R. マーティン

3部になって、ついにハードカバー3分冊になりました。これ、文庫にしたら何冊になるのかな…。
それはともかく壮大なファンタジー世界はあいかわらずの怒涛の展開を見せております。ああ、この先を読めるのはいつの話なのか…。遠い目をしちゃいますね。
様々な人物が、実に様々で容赦のない悲劇に見舞われておりますが、今回最も衝撃的だったのはケイトリンでした。怖い! ケイトリン怖すぎる!!
それ以外のことはとりあえず黙っておきますね。
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by agco | 2007-05-13 19:40 | 伝奇・時代・歴史

「狐笛のかなた」 上橋菜穂子

隣国の呪者に使役される霊狐・野火は、命じられた暗殺の帰りに犬に追われ、命を失うところだったが、それを救った少女・小夜に野火は恋をしてしまう。
しかし小夜は特別な力を持った娘であり、長じてそれが表面化するようになると、その血のしがらみの縁もあり、野火と小夜とは敵対する勢力の駒として使われることになる。
小夜は野火に何度か命を救われ、相手が霊狐であると知ってもさらに惹かれていく。
そしてふたりの恋は、国と国の血を血で洗う争いを動かす力となる。

物語的には別に不足はないのですが……なんか薄い。ものすごく普通。意表を衝かれる点がどこにもないという点でいまひとつと思ってしまいました。
悪くはないんですけど…小学生くらいの頃に読んでいたらもう少し普通に楽しめたのではないかと思うのですけど、今はもっとひねりがないとだめみたいです。
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by agco | 2007-02-02 23:11 | 伝奇・時代・歴史



あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
by agco
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