「バルタザールの遍歴」 佐藤亜紀

著者のデビュー作。
ひとつの体に魂がふたつ。そんな奇妙な状態でこの世に生まれ落ちたメルヒオール/バルタザールはいかなる人生を送ったか。
二重人格と違うところはふたりは同時に存在し、互いのやることを知覚でき、また心中での会話も可能。右手でバルタザールが一心不乱に文章を書き、その間メルヒオールが左手で赤ワインの入ったグラスを傾けるといったこともできてしまう。
さらには彼らはひそかに「実体を持った幽体離脱」とでも言うべき能力の持ち主で、これは父から受け継いだものであるらしい。
オーストリアの没落しつつある伯爵家の跡取り息子として生まれ、貧乏といいつつ十分に裕福であったが、財産なるものは叔母の策略でいくらか掠め取られ、本人もいろいろあって放蕩し、さらにはとある人物から騙し取られて結局<彼ら>は一文無しで遠い異郷をさ迷い歩くことになる。
まあ自業自得なんですが。

否応もなく落ちぶれていく男というものを書くのが著者はことのほか好きなようだ。
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by agco | 2007-07-06 22:27 | 伝奇・時代・歴史
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あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
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