また気がつくと一ヶ月くらいが経っていました…。
二月は割と本を読んだほうではないかと思いますが、もう細かな感想を書くのが面倒なのでまとめてゴー。 「海の仙人」 絲山秋子 じわっと肌にしみるお話。飄々とした空気があるものの、よく考えると主人公はけっこう悲惨な目にあっている。でもだからといって彼を不幸と決め付けるのはよろしくない。空気がきれいだった印象。 「薬指の標本」 小川洋子 作者のフェチ魂をがっつり感じた気がした。グッジョブ。 「わが悲しき娼婦たちの思い出」 愛とは幸福とは思い込みのなかにあり。 「屋久島ジュウソウ」 森絵都 一番長い屋久島の記録が一番面白くない。自分が行きたくて行った旅行でないためか、テンションが低すぎる。食べたものの記録はただ列挙するだけだと味気ない。 「些末なおもいで」 埜田杳 「あれ」と呼ばれる奇病で体の部分が次々と飛び去っていく少年と、それを見ていることしかできない不眠症の少年の関係を軸にした青春小説。不眠症の彼の一人称が「わたし」なのに、セリフのなかでは「ぼく」と喋っているので、非常に違和感があった。地の文章でも「ぼく」でいいじゃない。帯などのコピーから想像した内容とは大分違っていた。なにをやりたいのかはわかるんだけど。期待しすぎましたごめんなさい。 「スピリット・リング」 L.M.ビジョルド なぜだろう、ものすごくかったるい本だった。同内容で分量を30%くらい減らしてくれたらもうすこし爽快に読めたかも。 火の天分を持つフィアメッタが、その運命の恋人(?)トゥールと最初に出会ったときに反感を持つのはかまわない。でもその後これといって気持ちが変化するような大きなできごとはなかったと思うのに、いつのまにかフィアメッタがトゥールを受け入れる気持ちになっていたことが納得できなかった。つまりそのあたりの心理描写が足りていないのだと思う。 「ヴォル・ゲーム」 L.M.ビジョルド 上記と同じ作者の本なのに、うってかわってこちらは面白い。これでもかというどんでんがえしに次ぐどんでんがえし。先の予測をさせない破天荒な展開。マイルズのむちゃくちゃぶりと天才的な機転と悪運の強さは健在。パパもイリヤンも素敵なんだけど、今回グレゴール(皇帝)の株がすごく上がった。このシリーズのほかの本は頑張って読みたい。
by agco
| 2007-03-07 18:11
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