これは悲しいお話です。
介護人である主人公が、その現在や過去を語るという形式で本書は書かれており、最初は謎に満ちていた用語や環境、主人公の現在の立場などが、読み進むにつれ次第に明かされていきます。 はっきり書いてしまえばそれはクローニングおよび臓器提供に関する問題なのですが、それは常に底辺に重く伏流しており、表立って語られるのは恋や将来についての不安や、人と人との細かな感情のぶつかりあいや愛情といった、とてもありふれた、人間的なできごとです。 そんなふうに淡々と、しかしながら繊細に主人公たちの感情の動きを描き出して見せることで、著者はもしかしたらただ、彼らもまた普通の人間であるのだということを言いたかったのかもしれません。 ここまで切々と語らなければ、きっとそれがわからない人も世の中にはいるのだと、もしかしたらここまで語られてすらまだわからない人がいるのだと思うと、少し背筋がぞっとします。
by agco
| 2007-01-18 23:26
| その他創作
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