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「膚の下」 神林長平

火星三部作の三作目であるが、時系列的にはこれが一番最初にあたる物語である。
なんというかこう、ものすごく良い話だった。サイエンスや兵器、戦術のことなんかわたしにはよくわからない。こうだと言われたらそういうものかと思ってしまう。しかしそれは問題ではなくて、物語の核心となる「革命/変化」を、慧慈という「人間ではないもの」が起こそうと考え、それを実行するということ。また周囲がそれに反発し、また同調し、それぞれの思惑を抱えながら物語の終末へと雪崩をうって進んでいくこと。その精神の形の成長・変化がきっちり描かれていることが素晴らしいのだと思う。
これは一種の「人間ではないもの」の成長物語である。
そして、神林長平という作家が、こうした物語をきちんと書ける作家になってくれたことが、わたしはとても嬉しい。火星三部作の1つ目「あなたの魂に安らぎあれ」は、彼のデビュー後第一長編であるが、わたしは昔からこれがものすごく好きだった。いい形で決着をつけてくれたと思う。
by agco | 2004-08-07 00:20 | SF
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あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
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