「十二の遍歴の物語」「青い犬の目」「迷宮の将軍」 G.ガルシア=マルケス

「十二の遍歴の物語」
十二の短編を収めた本書。遍歴しているのはその作者自身であり、生まれてから書かれるまでにネタそのものがくぐりぬけた経緯であり、作中の登場人物たちの生き様だ。
どれもこれも粒ぞろいで面白い。もう何を言っていいのか分からないが面白い。のっけからやられっぱなし。「大統領閣下、よいお旅を」に出てくる大統領閣下が激しくトキメク人物です。
しかしこの本、文庫は出ていないのね…。ハードカバーで買うか…。とほほ。

「青い犬の目」
幻想的な11短編を集めた本書は、一転とても読みづらい本となっています。
上記の本だって幻想的といえば十分に幻想的だというのに、何がそんなに違うのかといえば、それは書き方ではないかと。
「十二の遍歴の物語」は基本的には「出来事」を追いかけて書かれており、「青い犬の目」は登場人物の内面の心理を追いかけて話が進む。出来事らしい出来事は起こらず、ただ延々と登場人物たちが思考をめぐらせている場合が多い。それがちょっと…いやかなり読み辛い。
物語のネタというかモチーフや発想そのものは作者の後の作風と変わらず心惹かれるものであるのに、その書き方が変わるだけでこんなにもついていけない物語になるものかと、むしろ驚く。あのノリに波長の合う人にはきっと傑作なのだろうが、わたしにはダメだった。

「迷宮の将軍」
南米の開放に尽力した実在の革命家シモン・ボリーバルの最晩年を書いたこの小説は、非常に重々しく、幻想の入り込む余地もなく現実的で、写実的である。
人物描写の卓抜さはさすがというべきなのだろうが、そのテーマが重すぎて、ちょっと読むのが辛かった。というより、あまりの長さに段々疲れてきて、途中からかなり読み飛ばし…まし…た…。おお。
ガルシア=マルケスならなんでも好きというわけじゃないんだな、ということがよくわかりました。
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by agco | 2005-08-22 23:49 | その他創作
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あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
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