さびれた調査事務所の調査員である桜庭は、突然姿を消した、心のない人形のようなホステス、キリエを探すうちに血なまぐさい裏社会の抗争に巻き込まれ、ついにはキリエを逃がすために命をかけることになる。
連作短篇の形で少しずつ事件の全容に迫っていく書き方は上手いが、微妙に不満が残るのは、桜庭という人間が女にもてない金もない、しがない男だと嘯きつつも、御曹司で特殊な情報源と逃がし屋というスキルを持つ檜林や、やくざの二代目で裏社会の顔の松村、敏腕弁護士の広末をはじめ、特殊な稼業の知り合いがいっぱいいて、何かと助けを得られる立場にあることだ。 都合が良すぎる。 つうかそんなに使える人材が周りに一杯いるなら、わたしだって探偵をやってみたいほどだ。 全編を通して強く孤独が訴えられている。自分がいなくなっても誰も心配しない、捜さないといいながら、本当は誰かに心配して欲しくて見つけてほしがっている人たちが沢山出てくる。 でも、捜して欲しいと思ってるうちはまだ真の孤独じゃないんじゃないか? それは甘えなんじゃないか? 本当に孤独な人は、自分が孤独だということに気づかないものなんじゃないか? 最後の最後は、えっ、この人それでどうなるの? というその後が心配になる終わり方だった。これ、まだ先があるんだろうか。それともここで終わりなんだろうか。 それが少し気になるけども、別に桜庭さんにそんなに愛はないんだよなあ。
by agco
| 2005-07-05 23:45
| ミステリ
|
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