「七百年の薔薇」 ルイス・ガネット

何気なく図書館で手に取り、あらすじが面白そうだったので借りてみた本だったのですが。

両親が離婚し、母親と暮らすトランス・スプーアの元に、突然父から奇怪な手紙が届くところから物語りは始まります。そこにはスプーア家にかけられた七百年もの長きに渡る呪いのことが書かれていました。スプーア家の男子は代々五十を前に狂気に陥り、自殺あるいは他殺や事故死などの陰惨な死を遂げるというのです。そしてそれは、十字軍の昔まで遡る、スプーア家の先祖が犯したなんらかの罪による報いだというのです。
トランスの父マルコムは、近日の自らの死を予感し、その前にしばらくの間だけでも息子とともに生活し、全財産と爵位を譲りたいといって、広大な地所に息子を招きます。父の正気を疑いながらもその屋敷を訪れたトランスを迎えたものは、12匹の獰猛な大型犬と、地下室にあふれるセピア色の薔薇、そして至る所にしかけられた監視カメラでした。

この物語は、登場人物たちのメモ、手紙、日記、口述カセットの記録、カメラの映像などを連ねることで成り立っている。手法としてはまあ、ものすごく良くもないけど悪くもない。話も別に悪くはない。今ひとつ説明がすっきりしなかったような気がするけど、それもまあよしとしよう。
問題は薔薇だ。
薔薇。どうしてこう、世の中薔薇といえば耽美でなおかつほもなのだろうか。薔薇とほもとは切っても切れない関係なのだろうか。タイトルを見た時点で気づくべきだったのかもしれないが、普通の(?)ゴシック・スリラーだと思って読み進めていたおかげで、変なところで動揺させられてしまった。
トランス少年がゲイであっても別に文句はないのだが、それよりも物語りの根幹に関わってくるもう一組の人たちの方が大変なことになっていた。「愛してる」って言っちゃったよこの人、うわあと読みながら一人ツッコミの嵐。昨日のシーフォートに続いて二日連続ほもの「愛してる」の刑である。これは呪いか。呪いなのか。
いや、違うの。愛していてもいいの。ゲイでもほもでも偏見はないの。ただ耽美が苦手なの。セピアの薔薇が敷き詰められた寝台の上でってあなた、それだけで胸やけがし(略)

ああでも、ホラー? ミステリ? としては、悪くはない出来だと思います。←そんなつけたしのように…
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by agco | 2004-09-06 23:27 | FT・ホラー・幻想
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あまりに自分の忘却力がすごすぎるので、面白かったものも面白くなかったものも、とりあえず読んだ本の感想を全部記録してみることにしました。コメントなどありましたらご自由にどうぞ。
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