豪華絢爛、血と狂気、退廃、倦怠、情念、異形の愛。そんなものが皆川博子の持ち味であるが、それらを縁の下で支えているのはとにかく「激しさ」なのである。
本書は短編集なので、ひとつひとつは幻影のごとくに儚く一瞬の狂気を垣間見せるばかりだが、それとても焔の閃きのごとき、焼き尽くす高温を胎内に秘めている。著者の年齢なども考えあわすと、その力強さ、激しさはすさまじい。 日常と見えていたものが、ふと気を許した隙に一瞬で非日常へとスライドする。そのぞっとする狭間を書くのが上手い作家だ。 わたしは「死の泉」からの読者なので、そうそう語れるほど詳しくはないが、彼女の生み出す色鮮やかな世界に幻惑させられるのは、浮世を離れた非常に愉しい体験である。
by agco
| 2004-09-01 23:44
| その他創作
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